光の揺らぎのなかで

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海で 沈みかけたとき
助けてくれたのはパパだった。

10歳のころ、海の底で、光の揺らめきを見ていたら
浮輪を見失って アタシは必死に水面に顔を出そうとして
でも、顔を出して息を吸うと 波が立って 海水をたくさん飲んだ


苦しくて苦しくて もうダメだって思った。


呑み込んだ海水が喉をヒリヒリさせて
アタシはもう、なんだか哀しくて苦しくて
どんどん何も聞こえなくなって、意識が遠のいていく感覚は
静かにゆっくりとアタシの身体を包んでいった。

そんなときに、大きな手が
アタシの二の腕を掴んだ。

海面に引っ張り上げられたアタシは パパの腕にしがみ付いて
わんわん泣いた。暴れるアタシを掴む力はすごくて、すごく痛かったけど
アタシは泣きながら もう大丈夫だなと すごく安心したのを覚えている。

パパのことが あまり好きじゃなかった。
いつだって不器用な人だった。

でも その時、パパは アタシを叱ることもしないで
ただ背中をさすってくれていた。

その手がすごく大きくて アタシはずっとわんわん泣いた。


そんなことを 今日 思い出した。


暗闇から 引っ張り上げてくれた腕は
力強くて大きくて 優しかった。


死にかけたのに 海が嫌いにならなかったのは
二人の祖父が 海の男だったからなのか

それとも あの時のパパの腕が 余程頼もしくて
不安すら残さなかったからなのか
解らないけれど



アタシは多分 いつだって 不器用な愛に守られていて


アタシは多分 いつだって 幸せだったはずだ



そして それは 今だって 何も変わらず


きっと アタシは 愛されている、

独りだと勝手に思い込むことは
なんて自分勝手なエゴなんだろう

傍にいなくたって 今は 手を差し伸べられるほど
近くにいなくたって


アタシは 幸せだということを


上手くいかないことがあっても
寂しくても 哀しくても 
歯を食いしばって アタシはやっていける 。


だって、アタシが存在することを 否定するものはないし

愛されて 守られて ここまできたから 。




時々忘れそうになる。

大切なこと。

アタシが大切に想えばいいのだ。

想われていなくても 、 
一方通行だって 想い続けることは 案外難しいけれど
アタシには 其れができる 。


きっと ずっと 。
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by maco516 | 2009-12-27 23:31 | ぐるぐる。